第6回埼玉県ミドル失語症者の会

結婚。いい響きですね。私は、最初、住むところを決めて、結婚式を挙げて、新婚旅行へ行って、役所へ届けて、子供が出来て・・・みたいな経験をしてきました。元気な頃は、そうだったんですが・・・。

障害を負ってから、結婚の夫婦関係について、何とも言えない感じを持っていました。私の場合は、右半身麻痺、よだれが出てしまうし、服装もちゃんとしているつもりでも、右側の方ではシャツが出ていることもあるし、もっとも酷いのは失語症。たとえば、妻にしてみたら、怒っているように聞こえてしまうそうです。私にしてみれば、普通に話しているだけなのになあ。もっと怒っている時でも、同じ調子で聞こえるそうです。

他には、夫婦はあ・うんの呼吸があって、私は、今まではそうして来ましたが、障害後、あ・うんの呼吸が遠い彼方へ行ってしまいました。当事者は、「う~んとう~んと・・・」。妻は待っているだけ。そうか!長い言葉はいらない。そう分かってからは、あ・うんの呼吸が復活しそうになってきました。もっともっと沢山あるんですが、夫婦関係については、またの機会に・・・。

ある記事に載っていたんです。
愛の3原則・・・「ありがとう」「ごめんなさい」「愛してる」

「ありがとう」と「ごめんなさい」は、失語症者にとって、一番大切な言葉。みんなは言っているよね。でも、夫婦関係にとってもっと大切なもう一つの言葉は「愛してる」。私は言えませんでした。でも、照れて恥ずかしいけど、言葉に出そう、「愛してる」と。

なぜなら、当事者の配偶者、夫や妻は、必死に戦っています。病魔、失語症と戦っています。リハビリに行く時でも、配偶者は、当初、そばにいたでしょ。旅行に行く時でも、最初はそばにいたでしょ。段々、もういいかなと思ったら、離れていく訳です。でも、帰ってくるまで、心配をしているのは間違いありませんから。これからは、怒るように聞こえてしまうのも、あ・うんの呼吸も含めてなど、いろいろ含めて「愛してる」と言いたいと思います。

運命の人とまだ会っていない人、死別、離婚など、ミドルの内は恋愛自由ですよ。私の場合は、ずーっと結婚したままなら、死別はある物です。先に逝くのは、私の方ですが(笑)。



埼玉県ミドル失語症者の会
平成24年6月 会長 友井規幸