第48回埼玉県若い&第16回ミドル失語症者のつどい

講習会での失語症の「家族」の体験談には、どういう体験をしてきたのか。生還を喜んだり、リハビリをほめたり、役所のいい加減な態度を怒ったり等、本当に感心させられるものがあります。

一方、私は『「当事者」の体験談は、あまり良くないことだ』と思っていました。どうしてかと言うと、私も含めて、一般的な当事者は、「ある場所で、脳卒中で倒れて、病院で入院。何日かで目が覚めると、失語症と半身麻痺になり、リハビリに精を出している。その時、孤独、死など感じていました。何年か経って、笑顔が戻って来た」と。どの体験談を聞いても同じ事を言っているだけだなあと思い、事実だけを述べて談にしようというのが、どうも合わないなと感じていました。そう、何年か前までは・・・。

今は違います。3つあります。まずは、「当事者」が話す事。何度も何度も練習して、家族にも聴いてもらって、本番を迎えるわけです。家族の中では、「うん」しか言わなかった人間が観客に話をしているわけです。終わった後に自信にもなります。次に、観客の態度が違います。観客は、一生懸命聴こうとします。聴き取りづらいことがあっても、気にせずそのまま聞き流します。

最後に、体験談を語るうえで重要なことは「一番言いたいことは、何なのかを絞って発表に臨む」ことです。あんなことも言いたい、これも言いたい、こんなことも言いたい、と考えるのは絞れていない証拠ですよ。あとは、過去はふり返ってもどうしようもない、現在や未来に夢があって、それに進んでいるという体験談が出来るといいですね。

今年の8月、意思疎通支援の講習会は、私の体験談のプログラムが組まれていました。講習会に行った皆さん、私の体験談はどうだったでしょうか。ポイントは絞れていましたか?そして、月末に開催される、山梨県のSTのSさん主催の「若い失語症者との交流会イン東京」。そこでも、「当事者」の体験談は複数あります。観客は、STやボランティア、家族、当事者など、満員になるそうです。私も行きますよ。

埼玉県若い&ミドル失語症者のつどい
平成26年8月 友井規幸