第42回埼玉県若い&第10回ミドル失語症者のつどい

失語症者は、仲間たちと会話していると、なんか「悪い」ような感じがしてくるのは、私だけでしょうか?「失語症者」対「失語症者」や、「家族」、「ST」などでは、感じない事です。相手がしゃべっていると、普通に聞き取りは出来ますが(出来ていない時もあると思います)、自分がしゃべる時になると緊張します。申し訳なさや、つまった時の怖さ、「つまんねーな」と思われているか、あと、ちゃんとしゃべっていても、何のことを言えば良いのか分からなくなっていきます。という風に、私は感じてしまうのです。いえ、多分、みんな失語症者は思っているはずです。

仲間たちは、優しいですから、黙って聞いてくれます。つまった時でも、「もう一回最初から・・・」、「・・・で、どうしたの?」、という言葉、必死に聞こうとしてくれます。もったいないやら、面目ないやら、涙が出てしまう事もあります。これは、挨拶や趣味、旅行など、自由に会話している時の仲間たちの心使いです。ありがたい事です。

では、仕事ではどうでしょうか?これが問題なのです。仲間たちは、お願いや命令で話しかけます。たとえば、単純な仕事ですが、「資料5ページから10ページをコピーしなさい。各20部を取りなさい。」私は、コピーしますからOKです。何の問題もありません。

しかし、疑問や意見を持った時、私は失語症だから言えないのです。やるせないですよね。口で言うのも下手だし、メールでも時間がかかるし・・・。この私の疑問は、「コピーは紙代やインク代もいって、高いです。パソコンを持っている人なら、PDFにした方が良いのではないのですか?」と言いたいんだけどいえません。なので、私は、しぶしぶコピーをしてしまうのです。

もし余裕があったら、仲間たちは、なんでコピーが必要なのかを、私に説明し、納得します。そうなったら、明るい気持ちでコピーをします。でも、仲間たちは、仕事なので、「時間がない」「余裕がない」などの理由で、あえて省略しているはずです。

仲間たちに失語症の症状を見ないでもすむようにしてあげられるか、良い解決がありません。健常者なら、数分ですむことを、失語症者は悩んでしまいます。素晴らしい仲間たちを、頼むから取り上げないでっという気持ちです。

埼玉県若い&ミドルつどいは、年間5回しかありません。冒頭で書いたように、「失語症者」対「失語症者」では、「悪い」ような感じがしてくる事はないです。自由に話して良い場所です。戻ったら、みなさんの仲間たちに改めて顔を見せてあげましょう。そうして、仲間たちは、「生き生きとしているね」と、言ってくれるかもしれません。


埼玉県若い&ミドル失語症者のつどい
平成25年6月 友井規幸