第30回埼玉県若い失語症者のつどい
〜はじめの一歩〜
つどいの定例会で、自己紹介をする時、新メンバーの本人は名前などを言いました。次に、父親が、涙ながら継ぎ足して言っていました。
父親の涙は、「息子を立て直したい。普通に戻したい」という気持ちから、出たものでしょう。分かります。よーく分かります。皆さんの父親も母親も配偶者も子供も兄弟も、同じ気持ちで、「何で我が子が、脳卒中に遭わないといけないんだろう。」と、涙で誰もがいいます。
でも、もっともっと、悲泣しているのは当事者です。私は、やまいに倒れて、後遺症を知った時、会話と言うのができないし、会社での生活もダメ、飲み会も会話しないといけないし、連絡も、相談も、全部ダメになってしまったのです。おまけに右半身麻痺。右腕、右足がダメで、野球も、サッカーも、ゴルフも、あちらの方へ行ってしまった、と言う気持ちでした。
死のうと思ったこともあります。夢で、失語症が治って、ペラペラと喋っている姿を見ます。目が覚めたら、また、言葉が出ないんです。情けないやら、憤りやら、あらゆる感情が出てきてしまうんですよね。
何か歌詞にあったように、時の過ぎゆくままに・・・。それは、違っていました。これから、どういうふうに成っていきたいかを考える時間をくれました。それは、リハビリも一生懸命やりながら、障害と立ち向かうことと、障害と一緒に生きて行こうと気持ちです。
まわりの人、特に家族は、そうです。そういう冷静に沈着に考える時間が、与えてくれたのはいいと思います。(聞いたことは無いけど・・・)
私は倒れてから9年。新メンバーは、多分、1年しか経っていないから。段々と、生活に余裕が出てくると、生きて良かったと思う日があるからと思います。人の歴史はそういうものではないでしょうか。
リハビリや会話、若いつどいに出ていることによって、徐々に上達します。近い将来に、必ず!!
埼玉県若い失語症者のつどい〜はじめの一歩〜
平成21年11月 会長・友井規幸